「大切なものは、目には見えないんだよ」ーー星の王子さま(サン=テグジュペリ)〜幸せの名言〜

星の王子さま「大切なものは、目には見えないんだよ」 幸せの名言・格言
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今回取り上げる幸せの名言は、サン=テグジュペリの名著「星の王子さま」より、「大切なものは、目には見えないんだよ」です。

飛行機パイロットから児童文学作家へ。サン=テグジュペリ

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry, 1900-1944)は、フランスの作家、飛行士で、『星の王子さま』の著者として世界的に知られています。

1900年6月29日にフランスのリヨンで生まれたサン=テグジュペリは、幼少期から文学に興味を持ち、よく詩や短編小説を書いていました。1921年、サン=テグジュペリは、陸軍飛行隊に入隊し、パイロットとしての訓練を受け、商業飛行や郵便輸送のパイロットとして活動しました。

この経験が、彼の後の作品に強く影響を与えることになります。彼は空の旅と孤独、そして自然との一体感をテーマにした作品を多く執筆しました。代表的な作品として挙げられるのが『夜間飛行』(1931年)や『南方郵便』(1929年)です。これらの作品では、彼の飛行士としての経験が色濃く反映されています。

『星の王子さま(Le Petit Prince)』

サン=テグジュペリのもっとも有名な作品である『星の王子さま』は、1943年にニューヨークで出版されました。この作品は、子供向けの寓話として知られていますが、大人にとっても深い哲学的な意味を持つ作品で、今回紹介する「大切なものは目には見えないんだ」というメッセージをはじめとする、多くの普遍的な教訓を含んでいます。

サン=テグジュペリは、その文学的な業績と飛行士としての冒険を通じて、後世に多大な影響を与えました。彼の作品は、さまざまな言語に翻訳され、世界中の人々に読まれ続けており、その哲学的なテーマや人間性への洞察は、今なお多くの人々に感銘を与えています。

『星の王子さま』あらすじ

操縦士である「ぼく」は、サハラ砂漠に不時着し、孤独で不安な夜を過ごします。翌朝、突然現れた少年と出会い、彼がある小惑星からやってきた王子であることを知ります。王子の星は小さく、そこには3つの火山と、バオバブの木の芽、そして美しい1輪のバラがありました。王子はそのバラを大切にしていましたが、バラとのけんかをきっかけに他の星々を旅することにします。

旅の中で、王子は自分の体面ばかり気にする王や自己中心的な自惚れ屋、酒浸りの呑み助、星の所有権に固執する実業家、終わりのない仕事を続ける点燈夫、そして地理学者など、風変わりな大人たちと出会います。彼らとのやり取りを通じて、王子は大人の持つ奇妙な価値観や考え方を学びますが、彼自身が求めていた答えにはたどり着きませんでした。

最後に王子は地球にたどり着き、砂漠でヘビに出会います。その後、広がるバラの群生と高い山を目にします。彼は、自分の星にある小さな火山や、特別だと思っていた1輪のバラが、実は他と変わらない普通のものかもしれないと感じてしまい、失望と悲しみから涙を流します。そんなときに現れたキツネが、「仲良くなる」ということがどういうことなのか、あるものを他の同じようなものとは違った特別なものだと考えることだと王子に教えます。

そして、キツネの教えによって、王子はたとえ多くのバラが存在しても、自分が大切にしたバラこそが唯一無二であり、自分にとって特別であることに気づくのです。

「大切なものは、目には見えないんだよ」ーーキツネ(『星の王子さま』より)

サン=テグジュペリのもっとも有名な著作『星の王子さま』の中で、さらにもっとも有名な一説と言えるのが「大切なものは、目には見えないんだよ (Le plus important est invisible)」という台詞です。

この台詞は、キツネが王子との絆を深める中で、世の中にありふれたものでも、自分が長い時間を過ごし、愛着を持って生活を共にしたものは、この世に1つだけの特別な存在になりうるのだと王子がに気づかせた、そのあとに発する台詞です。

「さよならを言うときに、秘密を教える」と約束したキツネは、王子との別れ際に言います。

「それじゃあ、秘密を教えるよ。とても簡単なことなんだ。ものごとは心で見なきゃ、 ちゃんと見えないんだよ。いちばん大切なものは、目には見えないんだよ

王子は、決して忘れることのないように繰り返します。

「いちばん大切なものは、目には見えない」

「大切なものは、目には見えないんだよ」が意味するもの

キツネが発したこの台詞は示唆に富んでおり、多くの人の心に残る一節となっています。具体的には次のような意味・教訓を見出すことができます。

  1. 内面的価値の尊重: 本当に大切なものーー例えば、愛や友情、信頼、誠実さなどは形に表れず、目には見えないものです。これらの無形の価値を理解し、大切にすることが、人間としての成長や幸せにつながると考えられます。
  2. 心のつながり: キツネが自らを「なつかせる」という行為を通じて王子に教えたのは、心の絆を築くことの重要性です。不特定多数の物や他者の中から、特定の1つを特別に感じるのは、そのものや相手に対して心を通わせる時間や思いがあるからであり、それが本当の意味での「大切なものを見る」ということであると言えます。
  3. 本質を見抜く力: 目に見えるものや外見は、それ自体を構成するもののほんの一部に過ぎないということもキツネは言っています。つまり、見た目に惑わされることなく、物事の本質を理解しようとする姿勢が大切だということです。これは、人間関係や愛情、友情において特に重要なことでもあります。表面的な行為や言葉だけでなく、相手の細かな表情や所作から本当の気持ちや心を汲み取ることが、関係性の構築に非常に大切なことです。

目には見えなくても、私たちの間に存在しているもの

今回は、サン=テグジュペリ『星の王子さま』から「大切なものは、目には見えないんだよ」という名言をピックアップしました。

私たちには、人それぞれ、大切な人や、大切にしているものが必ずあります。それらはなぜ大切なのでしょうか?

おそらく、キツネが言うように、その人たちと過ごした日々や思い出、注いだ努力や愛情などが、見た目がそう変わらないはずの「その他大勢」とまったく違った価値のあるものにしているのでしょう。

あなたが大切にしている人は誰ですか?大切にしているものはなんですか?その人やものと一緒に過ごした時間をぜひ思い浮かべてみてください。きっと、あなたとの間に強い絆や愛着、共有した思い出などがあるはずです。それこそが、いちばん大切な、「目には見えないもの」なのです。

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