幸せのカルテでは、過去にメールや質問箱でいただいたご相談事例をご紹介していきます(個人を特定できないよう、一部を改変して紹介いたします)。
今回は、31歳・女性、F.Sさんからいただいたお悩みです。
人生に疲れてしまった。私はきっと幸せになれない。
私は地方の小さな町で生まれ育ちました。両親は共働きで、私は長女として弟妹の面倒を見ながら育ちました。両親はとても厳しく、勉強や家の手伝いを厳しく管理されていたため、幼少期から常に責任を感じて生きてきました。
学生時代は勉強一筋で友人関係を築くのが苦手でしたが、大学では1人だけ、同じような幼少期を過ごしたことから、本当に心を許せる友人ができました。私は就職で都市部へ引っ越すことになりましたが、友人は地元に残って就職することになりました。離れ離れになりましたが、それでも友情は続いていました。……続いていたと思っていました。
私は上京後、不動産関係の事務職につきました。仕事が忙しく長時間労働が続いて、毎日疲れ果て、恋愛をする暇もないほどです。一方の友人は、大学卒業後に働いた派遣先である男性と出会い、すぐに付き合い始めました。彼氏について話す友人はきらきらと輝いているように感じました。 その半年後、いつものように彼女に電話をしたとき、突然妊娠していることを告げられました。正直に言って、複雑な気持ちでした。おめでたいはずです。彼女も嬉しそうに話しています。でも、私は素直に彼女に対して全力の「おめでとう」は言えませんでした。
毎日疲れてぼろきれのようになっている自分と、幸せそうにする彼女を比べてしまうし、自分の唯一の大切な人だった友人を奪ってしまった(ように感じてしまった)彼にも言いようのない怒りがこみ上げてきました。なんだかすごく惨めな気持ちになり、それから彼女との連絡を取るのが怖くなってしまいました。
本当は色々話したい、私の悩みも聞いてほしい、一緒に笑ったり悩んだりしてほしい……そう思っているのに、それが叶わなくなってしまったような気がして、本当に辛いです。心身ともに疲れきってしまい、もう何もかもどうでもよくなってしまいそうです。この先、自分は幸せになれない、なれるわけないとすら感じています。何か心を変えるきっかけ、心が少しでも楽になる考え方などはあるでしょうか。また笑顔で友人と話せる日が来たらいいなと思っています。よろしくお願いします。
ネガティブな心を受け入れるのは勇気のいる行動
こんにちは。ご相談をいただき、ありがとうございます。まずは、あなたが感じているその複雑な感情についてお話しいただけたことに感謝します。自分自身が感じているネガティブな感情について、自ら受け入れ、咀嚼し、言葉にすること、それ自体がとても勇気のある行動です。このように行動してくださったことに、まずは心から敬意を表したいと思います。
あなたの生い立ちや家族の状況、そして友人との関係について詳しく聞かせてくれてありがとうございます。きっとあなたは大変責任感が強く、他人のために多くを犠牲にしてきたのでしょう。幼少期から現在に至るまで、多くの責任やプレッシャーを背負いながら頑張ってこられたことがよく伝わってきました。その一方で、大切な友人との関係が変わってしまったことで、深い孤独感や辛さを感じていることもよくわかりました。
友人の幸せと自身の状況を比較してしまう気持ちは、とても自然なことです。誰もが、自分と他人を比較し、自己評価を行ってしまうことがあります。しかし、ここで大切なのは、あなた自身の道が他の誰とも違うということを理解することです。
少しつらく感じるかもしれませんが、ここまでご自身の感情と向き合ってきたあなたを信頼して、あなたの心について、考えてみたいと思います。
ネガティブな感情は誰もが持っているもの
自分の境遇の悪さと友人の幸せを比較してしまい、友人の幸福を素直に祝福できない、またそんな自分に対し自己嫌悪に陥ってしまうといったことは多くの人が経験することです。決してあなたが嫌な人間である、ということなありません。人は自然に自分と他人を比較する傾向がありますし、特に友人や身近な人が幸せな状況にあると、自分の現状と比較してしまうことがよくあります。
そのような感情が生じる背景についてお話してみましょう。
1.自己評価と比較
自分の現状と他人の成功や幸せを比較すると、自分が劣っていると感じることがあります。これは特に、他人の成功が目立つ時期や、自分がストレスを感じているときに強く現れるものです。
2.共感と嫉妬
親しい友人の幸せに対して自分のことのように喜びを感じる一方で、自分がそのような幸せを得られていないことに対する劣等感や嫉妬が生じることがあります。これらの相反する感情は同時に存在することも多く、その矛盾が生じた結果、自己嫌悪につながることがあります。
3.劣等感と回避
劣等感を感じると、その感情を避けるため、友人との接触を避けようとしてしまうことがあります。これは自分の心を守るための自然な反応です。しかし結果として孤立感が増し、さらに自己嫌悪を強めてしまうことがあります。
これらの感情は、多くの人が1度は経験するものであり、決して恥じるようなものではありません。重要なのは、これらの感情とどう向き合うかです。
小さな幸せを見つけるための心のケア
その前に、今のあなたが直面している疲労感や孤独感について話しましょう。長時間労働や過度のストレスは心身に大きな影響を与えます。休息と自分を労わる時間を取ることが重要です。もし可能であれば、職場での負担を軽減する方法を検討してみてください。あなたの健康は何よりも大切です。
そしてもし、あなたの中に、このネガティブな感情を向き合い、また前を向くためのモチベーションが芽生えたとしたら(決して急ぐ必要はありません)、以下のアプローチを試してみてください。
マインドフルネスによる自己認識
まずは、自分の感情をしっかりと受け入れることが大切です。孤独感や嫉妬心、疲れなど、どんな感情も否定せず、そのまま受け入れてみてください。それが、次のステップへ進むための第一歩です。
具体的には、「マインドフルネス」という方法が有効です。マインドフルネスとは、過去や未来ではなく、今この瞬間に注意を向け、自分自身の心や身体のありのままを受け入れる方法のことを指します。
毎日、数分でも良いので瞑想によって、マインドフルネスの時間を作ってみるのもおすすめです。マインドフルネスによって自分の内面に意識を向ける時間を持つことで、感情を客観的に見つめ、受け入れる手助けとなります。
リラックスと自己ケア
心身ともに疲れきっている時、すべてを一度に解決しようとすると余計に負担がかかります。そこで自分を大切にし、リラックスする時間を持つことから始めてみましょう。例えば、毎日少しでも自分のための時間として、散歩をする、本を読む、お気に入りの音楽を聴くなど、リラックスできる時間を少しずつ増やしてみてください。自分のための時間を持つことで、自己肯定感を高めることができます。
さらに自己肯定感を高める
もし、現在の自分に劣等感を懐いているのなら、小さな成功体験を積み重ねることが、自信を取り戻すきっかけになります。仕事に限らず、プライベートでも小さな「できた」を一つずつ増やしていきましょう。新しい料理でもいいですし、部屋の片付けでも構いません、それが自分への信頼感を育むことにつながります。
意識的に視点を変えてみる
他人は他人であると、しっかり認識することも大切です。他人が幸福だからといって、自分が不幸になるわけではありません。他人の成功を自分の失敗と捉えず、一種のインスピレーションとして見ることができれば、ポジティブなエネルギーを得ることができます。
自分を取り戻すことができたら、次のステップへ
このような方法で、本来の自分自身を少しずつでも取り戻すことができたなら、次のステップ、つまり友人とのコミィニケーションにトライすべきときが近いかもしれません。
友人との関係においては、素直な気持ちを伝えることが大切です。可能なのであれば、あなたの悩みや感じていることを、彼女に率直に話してみるのも1つの方法です。真の友情は、互いの感情を理解し合い、支え合うことにあります。彼女もきっとあなたの気持ちを理解し、支えてくれるはずです。
ネガティブな気持ちになってしまったことを伝えても構わないと思います。相手も、あなたの様子が少し変だったことについて「悪いことをしてしまったかも」と気にしているかもしれません。素直な気持ちで感情を打ち明け、場合によっては「ごめんね」と言うことができたなら、相手も同様に心をひらいてくれるはずです。
「人生に疲れた」「行きつことに疲れた」と感じたときに行うこと
もし「生きることに疲れてしまった」と感じてしまったときは、自分を追い詰めず、少しずつ心身を整えることが大切です。以下にそんな状況を乗り越えるための具体的な方法の例を書き出してみます。
1.自分の気持ちを認める
まずは、今の自分の中にある気持ちを認めてあげることがもっとも重要です。「疲れた」と感じることはごく自然なことです。無理に元気でいようとせず、今の自分の状態をそのまま受け入れることが、前に進むための第一歩です。
また、自分が抱えている感情を書き出すことも有効です。頭の中のモヤモヤを紙や日記に書き出すことで、自分の心の整理が進みます。
2.身体のケアを優先する
心だけでなく、自分自身の身体の健康も考えてあげましょう。それにはいくつかのステップがあります。まずは十分な睡眠を取ることから始めましょう。睡眠不足は心身の疲れを悪化させます。必要であれば、昼寝やリラックスする時間を増やしましょう。
次に体を動かすことです。軽い運動やストレッチは、気分転換になり、ストレスを軽減する効果があります。そして、食事を整えることも大切です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、エネルギーを補給しましょう。
3.他人の力を借りる
ときには他人に頼ることも重要です。可能であれば、信頼できる人に、自分が抱えている悩みやモヤモヤを話してみてはいかがでしょうか。家族や友人、同僚などに、自分の気持ちを共有するだけでも気持ちが軽くなることがあります。
専門家に相談するもの有効です。私に話してくださったように、複数の人に相談することで、新しい視点や解決策を得られることもあります。
4.責任やプレッシャーを減らす
自分を取り巻いている責任やプレッシャーから、意識的に離れてみることも有効です。例えば、「やらないこと」を決めてみましょう。無理なスケジュールや責任を一時的に手放すことで、心の負担を軽くすることができます。
また、小さな目標を設定することもよいでしょう。大きな目標は大きなプレッシャーにもなりかねません。目標を小さくすることで少しずつステップを踏むことができます。「今日は何もしなくてもいい」と自分を許す日を作ることも大切です。
5.リラックスする時間をつくる
「小さな幸せを見つけるための心のケア」でも触れましたが、リラックスるできる時間を意識してつくるようにしましょう。例えば、公園や川辺など、自然の中で過ごすと心が落ち着くことがありますし、音楽を聴いたり、映画を見たり、趣味や好きなことに時間を使ってみると気持ちが楽になるはずです。
また、瞑想やリラックスできる呼吸法を試すことで、心の緊張を和らげることもできます。
6.自分を励ます考え方を取り入れる
生きることに疲れてしまうと、どうしてもネガティブな感情になりがちになります。しかし、自分を励ます考え方を取り入れることで、ネガティブを小さく抑えることができます。
例えば、ネガティブな感情を「一時的なもの」と考えることです。今の気持ちは永遠に続くわけではなく、少しずつ和らいでいくものです。小さな幸せに目を向けることも大切です。日常の中の「ありがとう」「おいしい」など、小さな幸せを見つける習慣を持ちましょう。
そして、他者の経験を知ることも自分の励みになります。同じような悩みを乗り越えた人の体験談を読むことで、希望が見えてくることもあります。
7.日常を少し変えてみる
自分の「いま」に疲れているのであれば、いまを変えてみることも1つの手です。家の模様替えや、カフェなど、環境を変えて新しい場所で過ごしてみることだけでも気分転換になります。
また、少し勇気を出して、新しい趣味やチャレンジに取り組むと、新鮮な感覚を得られるかもしれません。
8.「今ここ」に集中する
もし可能であれば、逆に真正面から向き合うことも解決に向かうことがあります。遠い未来のことを考えず、眼の前の「今日一日をどう過ごすか」に集中することで不安感を取り除けることがあります。
また、今感じていることを大切にすることも重要です。今の自分を受け入れ、小さな一歩でも前に進むことを目指しましょう。
もっとも大切なこと
「生きることに疲れた」と感じるとき、もっとも大切なのは自分を責めず、休むことを許すことです。誰にでも辛い時期はありますが、その状態から抜け出すために、無理をせず少しずつできることを試していきましょう。必要なら誰かの力を借りて、一歩一歩進んでいくことが大切です。
大丈夫。あなたには幸せになる権利がある。
未来に対して悲観的になるのは、人間として自然な反応ですが、希望を持つことが必要です。心持ちを変えることができれば、また新しい明日が見えてきます。あなたの人生には、もっともっと多くの可能性と幸せが待っているのです。
最後に、あなたが再び笑顔で友人と話せる日が来ることを信じています。あなたの思いやりと強さがあれば、必ずその日が訪れるはずです。今は辛いかもしれませんが、一歩一歩進むことで、未来は明るくなっていきます。
もう一度言います。大丈夫。あなたはきっと幸せになれます。そう願っています。
〜Kaworu〜
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