幸せのカルテでは、過去にメールや質問箱でいただいたご相談事例をご紹介していきます(個人を特定できないよう、一部を改変して紹介いたします)。
今回は、30歳M.Iさんからいただいたご相談「お人好しは幸せになれないのでしょうか?」です。
お人好しは幸せになれない?
最近、心の中で抱えている悩みがあり、誰かに聞いてほしいと思いご相談させていただきます。
私はよく知人から「お人好し」と言われます。人から頼まれたら断れないですし、洋服屋さんに立ち寄ったときもセールストークと分かっていながらも「お似合いですよ」と言われると買わずに出ていくのが悪い気がして買ってしまいます。友人に「何食べたい?」と聞かれても「あなたの食べたいものでいいよ」と言ってしまいます。基本的に相手を優先してしまうところがあり、自分の意見を主張するのが子供の頃から苦手です。
先日、唯一親友と呼べる友人と旅行に行ったときのことです。私はいつものように行きたいところや食べたいものをまったく主張しなかったため、「あなたには自分の意志はないのか」と友人に怒られてしまいました。友人は「私は、あなたの行きたいところに行きたいのだ」と言ってくれたのです。
私はすごく困惑してしまいました。私は友人が行きたいであろうところを頑張って想像して、一応答えたものの、友人はやはり不満そうでした。自分で主張することに慣れていない私は、自分の行きたいところを考えることができず、それと同時にやはり自分の我を通すのは悪い気もしてしまうのです。
過去にお付き合いした2人の男性は引っ張ってくれる方たちでしたが、どちらも最後には私がまったくわがままを言わないことに不満を持っているようでした。私は我慢してわがままを言っていないのではなく、本当に自分からの要望がないだけなのです。でもそれが相手の苛立ちにつながっていることで、どうすればよいか自分でもわかりません。
もっと主体的になりたいとは思いますが、「私なんかが我を通していいのだろうか」と思う癖がついてしまい、自分の意見が頭に浮かんでこないのです。そういうった感じなので、最初は「いい人」と認識されることが多いのですが、本当に親しくなれることはほとんどありません。友人関係や恋愛・結婚など、「お人好し」のままでは幸せになれないのではないかと感じてしまいます。
どうしたら、自分の意見をもっと大切にし、相手に対しても心からの関係を築けるようになるでしょうか。何かアドバイスをいただけたら嬉しいです。
「お人好し」は思いやりの証
こんにちは。お悩みをお聞かせいただき、ありがとうございます。あなたが抱えている感情や思いが、長い間にわたってあなたを悩ませてきたことがよくわかります。まず、そんな大切な思いを打ち明けてくださったことに感謝します。
まずお伝えしたいのは、あなたが感じている「お人好し」な性格は、相手を思いやる優しさの表れであるということです。これまでの人生で、他人を大切にすることを第一に考え、相手の気持ちに寄り添ってきたのでしょう。それはとても素晴らしいことです。しかし、その優しさがあなた自身を苦しめていることに気づいた今、そのバランスを見直すときが来ているのかもしれません。
あなたが感じている「自分の意見を主張することが悪いことだ」という思いについて考えてみましょう。自分の意見を持つことやそれを表現することは、決してわがままではありません。むしろ、あなた自身の存在や感情を大切にするために必要なことです。あなたの意見や感情は、他の誰かのものと同じように価値があります。
一方で、自分を大切にすることがまだ少し怖いのかもしれません。しかし、自分の意見や感情を尊重することは、決してわがままではなく、あなた自身を大切にするための大切な一歩です。あなたの意見や感情には価値があり、それを表現することは、他人との関係をより深く、より真実味のあるものにするためにも重要なことです。
自分の意見を主張するのは悪いことなのか
M.Iさんのように「自分の意見を主張することが悪いことだ」と感じている方は、少なくありません。このような感覚は、特に以下のような背景や状況から生まれることが多いです。
- 過去の経験: 子供の頃や成長過程で、意見を言った際に否定されたり、軽視された経験があると、「自分の意見は価値がない」と感じてしまうことがあります。これが繰り返されると、意見を表現すること自体が怖くなり、「主張することは悪いことだ」と思うようになることがあります。
- 自己評価の低さ: 自己評価が低く、自分に対して自信が持てなかったり、自尊心が低かったりすると、「自分の意見は他人に迷惑をかけるかもしれない」と考え、主張を避けてしまうことがあります。自分の価値を十分に認められていないと、自分の意見が他人にとって重要であると信じられない場合があります。
- 文化的・社会的要因: 一部の文化や社会、あるいはコミュニティにおいて、自己主張を控え、他人を優先することが美徳とされる場合があります。このような環境で育った場合、自分の意見を主張することが「わがまま」と感じられ、悪いことだと捉えられることがあります。例えば、日本においても昔は「女性は意見しないほうがよい」とする価値観がありました。祖父・祖母以上の世代等による教育によってはそのような価値観が根付いてしまうことがあります。
- 対人関係の恐れ: 対人関係での衝突を避けたいと考える人も、意見を主張することが争いや不和を引き起こすと信じていることがあります。そのため、自己主張を控えることで人間関係を円滑に保とうとする傾向が強くなります。
このような感覚は、少なくない人が経験するものであり、決して特殊なものではありません。しかし、自分の意見を主張することは、自己表現の一部であり、健全な人間関係を築く上で非常に重要です。そのため、「意見を主張することは悪いことではない」という認識を持つことが、自己成長や人間関係の発展において大切なステップとなることは心に留めておく必要があります。
友人の気持ちにも寄り添って
親友との旅行で、ご友人が「あなたの行きたいところに行きたい」と言ってくれたことは、あなたにとって大きな衝撃を受ける出来事だったのではないでしょうか。ご友人は、なぜそのようなことをあなたに伝えたのでしょうか。一緒に考えてみましょう。
おそらく友人の言葉には、あなたへの深い思いやりと、より深い関係を築きたいという願いが込められているはずです。
- あなたの本音を知りたい: まず、ご友人はあなたの本当の気持ちや意見を知りたかったのではないでしょうか。友人関係において、お互いの考えや感情を共有することは非常に大切です。あなたが何を望んでいるのか、どう感じているのかを知ることで、友人はもっとあなたのことを理解し、関係を深めたいと考えていたのではないでしょうか。
- あなたとより対等な関係を望んでいる: 友人は、あなたと対等な関係を築きたいと思っているのかもしれません。親しい友人関係を築くには、常に相手に合わせるだけではなく、お互いが対等に意見を交換し、共に楽しむことも重要です。あなたがご友人のことを大切に思っているのと同じように、ご友人もあなたのことを大切に思っているはずです。だから、ご友人があなたの意見も尊重してあげたいと思う気持ちはよく理解できます。また、もしあなたがずっと自分の意見を主張しないと、友人は一方的にリードすることに負担を感じてしまうこともあるかもしれません。
- あなたの幸せを願っている: 友人は、あなたが自分の欲求や意見を表現することが、あなた自身の幸せにつながると信じているのではないでしょうか。自分の気持ちを大切にし、それを表現することができるようになってほしい、そしてそれができる場を自分が提供したいという気持ちが込められているかもしれません。
- 真の友情を育みたい: 真の友情は、お互いが本音で付き合うことから生まれます。友人は、あなたが心を開いてくれることを望んでいたのかもしれません。あなたが自分の意見や希望を伝えることで、より深い信頼関係が築けると考えていたのではないでしょうか。
ご友人の言葉には、あなたを思いやり、より良い関係を築きたいという願いが込められていることが伺えます。友人はあなたに対して、本当に心からの関係を築きたいと思っているのです。それはあなたのことを大切に思っている証拠ですし、あなたが自分の意見を表現することを応援しているのだと思います。
自分の意見を主張してもいい
あなたに伝えたいのは、「あなた自身の意見を主張することは何も悪いことではない」ということです。あなたが意見を言うことで、あなたという人物を相手に知ってもらうきっかけになり、さらによい人間関係を築くことができます。
ですから、これから少しずつ、無理のない範囲で自分の意見を主張する練習をしてみませんか?例えば、次に友人と食事に行くとき、少しでも「これが食べたいな」と思ったものがあれば、その気持ちを言葉にしてみる。最初は難しいかもしれませんが、小さな一歩を積み重ねることで、徐々に自分の意見を表現することに慣れていくことができるはずです。
また、過去の恋愛で「わがままを言わないこと」が原因で問題が生じた経験から、今後の関係に対して不安を感じているのも自然なことです。でも、本当に大切なのは、相手があなたの本音や感情を理解し、それを受け入れることです。無理に変わる必要はありませんが、少しずつ自分の気持ちを伝える努力をすることで、相手との関係もより深いものになるかもしれません。
自分の意見や気持ちも大切に
あなたはすでに、他人を大切にすることができる素晴らしい人です。その優しさを持ちながらも、自分自身を大切にすることができるようになれば、今以上に素晴らしい人間関係を築けることでしょう。
少しずつで構いません。自分をもっと尊重し、自分の意見を大切にすることを練習してみてください。あなたが周りの人の意見を大切にするように、あなたの意見にも大きな価値があり、大切にされるべきだからです。
これからのあなたの歩みを応援しています。どんな小さな一歩でも、その積み重ねが大きな変化をもたらすことを信じています。
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