「幸せなのに辛い」理由とアドバイス〜幸せのカルテ005〜

幸せなのにつらい 「幸せになれない」カルテ
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幸せのカルテでは、過去にメールや質問箱でいただいたご相談事例をご紹介していきます(個人を特定できないよう、一部を改変して紹介いたします)。

今回は、31歳、H.Sさんからいただいたお悩み「幸せなのに辛い」です。

幸せなのに辛いと感じるのはなぜ?

はじめまして。私は今31歳で、3歳と1歳の男の子を育てながら、時短勤務で働いています。夫とは大学時代から付き合っていて、28歳のときに結婚しました。夫は電機メーカーの営業職で、昇進してから仕事が忙しくなり、最近は帰りも遅く、休日も一緒に過ごせる時間が少なくなっています。

毎日、子供たちの笑顔を見ると本当に幸せだと感じますし、夫も平均以上に稼いできてくれているので、金銭面で生活に不自由はありません。さらに、マイホームの購入も決まっており、近く広い家に引っ越すことになっており、周りの未婚の友人たちからは「幸せそうでいいな」とか「羨ましい」と言われることが多いです。自分でも、今の生活や境遇は十分すぎるほど幸せだ思います。

でも、その反面、どうにもモヤモヤしてしまうこともあって、幸せなはずなのにどうして、と悩んでしまうこともあります。

夫が忙しいこともあり、夜や休日にワンオペ育児になることが多く、心や身体が疲れてしまうこともありますし、また、私は本当はフルタイムで働いてキャリアを築いていきたい気持ちがあるのですが、子供の保育園のお迎えや日々の育児を考えると、時短勤務をせざるを得なく、キャリア形成は難しいのかなと、もどかしさも感じています。

新しいマイホームも広いのはいいものの駅からは離れます。夫はその家をすごく気に入っており、駅から遠いことも「少しくらいなら大丈夫だよ」と言っていますが、私は本当は駅近のマンションが良かったな……と思っています。なので、家族のため、と言い聞かせて納得するようにしています。

……そして、そんなことを考える自分に対して、「もしかして、わがままなんじゃないか」と罪悪感を感じたり、ときどき「なんだか辛いな」と感じてしまうことすらあるのです。

本当に贅沢な悩みだと思いますし、こちらに相談してよいのかと迷いもしました。そんなふうに思うたびに、子供たちや夫に対して申し訳なくて、自己嫌悪に陥ってしまいます。こんなに恵まれた生活をしているのに、どうしてこんな気持ちになってしまうのでしょうか。自分は、やはりわがままなのでしょうか。どうかご意見いただければ幸いです。

「幸せなのに辛い」と感じるのはよくあること。

詳しくお話しいただきありがとうございます。毎日、育児にお仕事に、がんばっておられるのですね。本当に素晴らしいと感じますし、第一にそのことを誇ってよいと思います。あなたが感じている辛さはとても自然なことですし、決してわがままだとは思いません。

まず、お伝えしたいのは、あなたが現在の生活に対して「幸せ」と感じながらも、「辛い」と思う瞬間があることは、「贅沢な悩み」ではないということです。人はどんなに恵まれた環境にあっても、さまざまな感情が入り混じるものだからです。

そのような感情になるにはいくつかの理由があります。その理由について探っていってみましょう。



なぜ「幸せなのに辛い」と感じてしまうのか

「幸せなのに辛い」と感じるにはいくつかの理由が考えられます。特に以下のような要因が関係しているかもしれません。

1. 自己犠牲による負担感

あなたはこれまで、あるいは今でも、家族のために日常生活の中で多くのことを譲り、調整してきたと思います。それはとても素敵なことですが、あなた自身の内面のこともときには大切にしてあげる必要があります。

特に育児や家庭のために自分のキャリアや個人の希望を後回しにすることで、「自分が本当に望んでいることを抑えている」という感覚が無意識に生まれることもあるのです。これが少しずつ積み重なると、心の中で「幸せ」の感覚と「満たされない」感覚が入り混じるようになり、もどかしさやモヤモヤが引き起こされてしまいます。

2. 理想と現実のギャップ

誰もが「理想的な家庭像」や「理想の自分」を心の中で描いています。例えば、キャリアを積みながら、家庭も円満に保ち、すべてをバランスよくこなすという理想があるかもしれません。しかし、実際には育児や仕事の負担、時間的な制約などで、理想通りにいかないことも少なくありません。そのギャップが自分を責める感情を引き起こし、「自分はわがままなのではないか」と感じる原因になることがあります。

3. 社会的な期待とプレッシャー

特に女性の場合、母親や妻としての役割に対する社会的な期待が大きいことがあります。「家庭を守り、育児をしっかりこなしながらも、仕事や個人の時間も充実させなければならない」というプレッシャーを感じることは珍しいことではありません。その期待に応えようとするあまり、自分の本来の気持ちや欲求を押さえ込み、結果的に疲れや罪悪感を抱いてしまうことがあります。

4. 感情の複雑さ

大前提として、人間の感情は、単純に「幸せ」か「不幸せ」かに分けられるものではなく、ときに複数の感情が同時に存在します。あなたの場合、「家庭や子供に対する幸せ」と「自分自身のキャリアや希望に対する不満」という相反する感情が共存しているのだと思います。それは矛盾しているように感じるかもしれませんが、実際にはごく自然なことなのです。

幸せの定義を他人に委ねない

もうひとつ、大切なことがあります。それは、「幸せ」の定義を他人の価値観に委ねていることが、あなたの感情に影響を与えている可能性があるということです。「幸せそうでいいな」とか「羨ましい」とご友人に言われることで「この状態が幸せなのだ」と思い込んでしまっているのかもしれません。

他人の価値観に基づく「幸せ」は正しい?

社会や周りの人々が提示する「幸せの基準」というものは、しばしば自分自身にも影響力を持つことがあります。例えば、結婚して子供がいて、経済的にも安定していて、広い家に住んでいるということが、一般的には「幸せ」とされるケースが多いです。

そういった「理想的な生活像」に自分が当てはまっていると、他人から「幸せそうだね」「羨ましい」と言われますし、自分でもその価値観に照らし合わせて「これが幸せなんだ」と感じようとします

しかし、実際には自分自身が本当に求めているものや、自分にとっての幸せが、必ずしも周囲の基準と一致しているとは限りません。例えば、他の人から見れば完璧な生活に見えても、あなたにとってはもっと別のもの、例えばフルタイムでの仕事や、夫とのより深いコミュニケーション、個人の時間が必要かもしれません。

自分にとっての「幸せ」を見つめ直す

他人の価値観に基づく「幸せ」の定義に無意識に従っていると、本当に自分が求めているものが見えにくくなることがあります。人それぞれ、幸せの感じ方は異なり、それは社会の基準に当てはめるものではなく、あなた自身がどう感じるかがもっとも大切です。

・「私は何を大切にしたいのか?」
・「私にとっての理想の生活とは何か?」
・「どんなときに心が満たされるか?」

これらの問いを自分自身に投げかけることによって、他人の価値観に依存するのではなく、自分の内面に基づいた幸せを再定義することができます。

自分の幸せを見つけることの大切さ

自分にとっての「幸せ」を見つめ直すことができると、今抱えているモヤモヤや葛藤が少し和らぐかもしれません。他人の基準に従って「これが幸せであるべきだ」と感じるのではなく、あなた自身の本心や価値観に耳を傾けることで、本当に自分が大切にしたいものが見えてくるかもしれません。

「幸せ」とは、一人ひとりにとって異なるものです。他人の価値観に合わせる必要は全くなく、自分が心から満たされる瞬間を大切にしていくことが、本当の幸せにつながります。

このプロセスには時間がかかるかもしれませんが、少しずつ自分の内面に向き合い、自分自身の幸せを定義していくことが、長期的には心の安定と満足感をもたらしてくれるはずです。

 

「幸せなのに辛い」と感じたら、本当の幸せに向き合うことが大切

育児や仕事、家庭のバランスを取ろうとすると、自分の時間や自由が制約される場面が増え、精神的に疲れやすくなることがあります。

幸せな生活を送っている人でも、ほとんどの人は何か物足りなさや不満を感じているものです。それは、人生の異なる側面(家庭、仕事、個人の時間など)をすべて完璧に満たすことが難しいためです。あなたが抱えている感情は、非常に多くの人が共感できるものです。

大切なのは、この感情を否定せず、自然なものとして受け入れることです。感情は自分の中で蓄積されていくと、ストレスや不安として表面化することがありますが、それを認識し、無理に抑え込むのではなく、少しずつ解消できるように、身近な人と話したり、自分の気持ちに向き合う時間を持つことが重要です。

あなたは決してわがままでも変でもなく、今の状況でとてもよく頑張っているのです。感情に振り回されず、自分自身に優しく寄り添うことが、心の健康にとって大切なことです。

そして、本当の幸せは自分の価値観が決めることです。一般的な幸せが自分に当てはまらないこともある、ということを忘れないようにしてください。応援しています。

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